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このウェブ・サイトで、秀吉の朝鮮侵攻については、主には戦争前の朝鮮の状況の項で取り上げましたが、日清戦争の戦史の項でも少し言及しました。 このページでは、秀吉の朝鮮侵攻についての全体像を明らかにする参考図書とDVDを挙げています。
中野 等 『文禄・慶長の役 (戦争の日本史16)』
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原著の参謀本部編纂 『日本戦史・朝鮮役』 1924 は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されており、読むことができます。 本篇と補伝から成り、本篇は参謀本部が諸史料に基づき記述、補伝では各史料の内容が再録されています。 本書はその現代語訳抄録版です。原著の「本篇」が本書では「第一篇」、「補伝」が「第二篇」となっています。 ほとんど論評を交えずに、事実だけを淡々と追っているところに特徴があります。 ただし、その結果として、せっかくの失敗事例から学べるところを指摘せずに終わっています。失敗の教訓がいろいろとあったと思いますが、それがなされなかった、日本軍のカイゼンに生かされなかったことは、まことに残念でした。 |
「論評しない」特徴ゆえに、日本軍の中では、加藤清正についてさえ特にコメントされてはいません。ところが、朝鮮の李舜臣に限って、「朝鮮の陸兵が連敗したのに反し、水軍が連勝し、日本の水軍の西進を拒んだのは、一つは船舶建造が日本よりすぐれていたことにあった。しかし、戦船の運用や武器の使用は将帥その人の良し悪しにある。朝鮮の水軍は名将李舜臣を得てはじめてその効果をあげた」と、大いに誉めているところが、なかなか面白いと思います。
本書も、本ウェブサイト中の「戦争前の日清朝3国の状況−朝鮮の状況@ 秀吉の朝鮮侵攻」のページで引用等を行っています。
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本書の「はじめに」で、「日本・朝鮮両国の民衆は、秀吉の野望が惹き起こした戦争にさまざまな形で巻き込まれた。このような視点をふまえて、本書では、当時、朝鮮水軍全体を指揮する立場にあった李舜臣の『乱中日記』から、この戦争における民衆の様子を見てゆく」としています。 したがって、本書は、朝鮮侵攻の全体像を論じたものではないのですが、本書の構成で、まず秀吉の朝鮮侵攻の経緯全体が簡潔に要約されていますので、このページに挙げました。 秀吉の朝鮮侵攻についてあまり知識を持っていな人が、全体像の概略をてっとり早く理解するには、この要約部分はたいへん役に立ちます。 そのあとが本書の本論で、李舜臣の水軍の戦闘の詳細、その水軍に関与した職人や船漕ぎの詳細、そして日本軍で出征して明・朝鮮軍側に降伏した「降倭」の詳細、について、記述しています。 もちろん、この本論も、読む価値が高いものだと思います。 |
本書も、本ウェブサイト中の「戦争前の日清朝3国の状況−朝鮮の状況@ 秀吉の朝鮮侵攻」のページで引用等を行っています。
これは、本ではなく、NHKが2009年に放送した番組のDVDです。
この番組には、日韓の代表的な研究者(日本側は北島万次と中野等のお二人)も出演し、学術的にそれなりのレベルは確保できているように思います。しかし、1時間半という時間制約の中で、映像としての面白さのある材料も取り入れた上で、文禄慶長の役の全貌をカバーしようとするには無理があったのではないでしょうか。結局、網羅的に詰め込みすぎて、広いが浅くて舌足らずな番組に終わってしまっている、という印象があります。
とはいえ、肥前名護屋城や韓国南岸の倭城の現状と、城址から見える風景の紹介は、テレビならではのものです。また、天皇・関白は北京に移るなどとした壮大な国家拡張計画をしたためた秀吉の文書や、秀吉の朝鮮渡海に反対した後陽成天皇の書状、あるいは李舜臣の「乱中日記」など、多数の非常に重要な史料の「現物」の映像なども含まれています。こうした点は、さすがNHK、といえるように思います。
この番組については、DVDが市販されています。また大きな公立図書館なら、そのDVDを所蔵していて借り出せる、という可能性があります。
次は、義兵運動や鼻斬り、小西行長による外交交渉など、秀吉の朝鮮侵攻についての各論を扱った参考図書について、です。