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日清戦争期の研究者として大家といわれている研究者による著作2冊です。 大江志乃夫 『東アジア史としての日清戦争』
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500頁を越える大部の著作です。全体のおよそ半分は、「征韓論」から始めて壬午軍乱までの期間の、日本の政治史・陸海軍建設史と、日朝関係史にあてられています。残りがその後の日清朝関係史、そして日清戦争の開戦から講和に至るまでの外交と軍事の展開です。 したがって、むしろ日清戦争に至る前史のほうにウェートがある研究書である、といえます。 大部の著書で、内容は豊かです。そのため、扱っている期間も長く、範囲も広いので、とても簡潔、というわけにはいきません。 本書の中では、当時の統計資料のデータ、あるいはさまざまな研究書の見解などが、多数紹介されています。そういう点から、本書は、いわば日清戦争についての百科事典、として活用できるように思います。 |
本書からは、本ウェブサイト中の下記のページで、引用等を行っています。
本書は「日清戦争の全過程を考察することによって、この戦争の歴史的性格を明らかにすることをめざして書かれた」ものです。
序章では、征韓論から甲申事変までの日朝関係史、第1章では日朝経済関係、第2章では日清開戦外交、第3章は日清戦争中の日本政府の対朝鮮政策、第4章は軍事的な問題、第5章は日清講和条約、第6章では日清戦後の軍拡が論じられています。
著者は、本書記述の留意点は「日清戦争の全過程、すべての局面を、専制天皇制の政治の延長として解明すること」であると、「はじめに」で書いていますが、この著者の著作には、他の著作も含めて、こうした「教条的」な表現が、時々出て来ることがあります。
しかし、具体的な研究内容については、たとえば講和について、最初の草案であった「予定条約」が徐々に改訂されていく状況を、陸奥史料に基づいて論証するなど、徹底的に学究的です。
著者の「教条的」な記述を好まない方は、正邪論・善悪論的な定性評価を行っている個所だけ読み飛ばしていただけばよいかと思います。それ以外の部分は、まさしく学究的で価値が高いと思いますので。
本書は、本ウェブサイト中、「日本の戦争準備−朝鮮への出兵と開戦の意思決定」のページで言及しています。
日清戦争の総合的研究書は、さらに続きます。