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日清戦争を描いた小説次は、日清戦争そのものを主題として描いた、現代の小説です。 児島襄 『大山巌』 全4巻
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題名は『大山巌』ですが、大山巌その人についての記述量はかなり少なく、むしろ、『小説 日本陸軍史』というような題名の方がふさわしかったかもしれません。第1巻が戊辰戦争、第2巻が西南戦争、第3・4巻が日清戦争、となっています。 個人的に大山巌ファンである筆者は、大山の登場場面が余りにも少ないので、読んでいてちょっとがっかりしました。 しかし、幕末から義和団事変までの歴史の流れの中で、特に明治の日本陸軍の創設・整備を描いた作品だと思って読めば、それなりに読む価値はあるように思います。 日清戦争関係では、史実に明らかに反する記述が2カ所ありました。東学乱について袁世凱陰謀説を取っているところと、7月23日朝鮮王宮襲撃事件で国王夫妻が逃げ出したとしているところです。史料の読み間違いかと思いますが、その点だけはちょっと残念な気がしました。 |
![]() (写真は集英社版) |
「小説日清戦争」という副題がついていますが、日清戦争を、主には中国側から、さらに日本側や朝鮮側からの視点も加えて、多角的に描いた作品です。 「事実を淡々と追って、小説的な要素は比較的少ない」「実録風」の作品です。また、史料の扱いもしっかりしているようで、特に台湾の国防委員会の中日韓関係資料が活用されているとのこと。(陳舜臣・稲畑耕一郎対談「自作の周辺」による) 中国側の資料が多く活用されているだけに、通常の日本の研究書には出て来ない視点からの記述も多くあります。特に袁世凱や李鴻章が、各局面で何を考えていたのかなど、日本の研究書ではほとんど取扱われていません。 その点が、この作品の価値の高いところであり、日清戦争を研究する立場からは、ぜひ読むと良い本の一つと思われます。 |
なお、本ウェブサイトの本文では、「戦争の経過 − 中盤戦@ 九連城など」のページで、本書の内容の一部に触れています。
次は、小説以外で、日清戦争期を語ってくれるものとして、当時について書かれた記録や著作、新聞記事、諷刺漫画などです。