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日清戦争の軍事的な側面を理解しようと思うと、日清戦争自体という枠の外に出て、日本の陸海軍の歴史的な経緯の中で、日清戦争の位置づけを確認する、という作業も必要になるかと思います。すなわち、広く軍事史全般に関する図書なども読まないと、日清戦争を的確に理解できるようにはならないように思います。 そうした軍事史関係の参考図書です。そのうちで、まずは師団の歴史、軍事予算や軍備の歴史、鉄道の軍事利用の歴史についてです。
近現代史編纂会編 『陸軍師団総覧』
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まずは、日本陸軍の基礎知識に関する本です。 前半では、内務班−中隊−大隊−連隊−旅団−師団という師団の構成と人数、将校・下士官・兵の階級と昇格、軍内の教育、兵役とその期間などが分かりやすく整理されています。 つまり、例えば「歩兵大隊」といえば、1個約200人弱の中隊が4個(平時は3個)に歩兵砲中隊や大隊本部まで加わって、合計1100人弱で、大隊長は中佐、などという、軍隊の基本常識を教えてくれる本です。 後半では陸軍の各師団について、創設日や編成地、歴代の師団長名などの基本情報と、戦歴が整理されています。 筆者は、たまたま本書を参考にしましたが、他にもっとよいものがあるかもしれません。 |
本書からは、本ウェブサイトの本文では何も引用等は行っていませんが、戦争の経過を理解するには、本書のような日本陸軍の基礎知識の解説書をあらかじめ読んでおかないと、なかなか理解が難しいという気がします。
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本書の「はじめに」の中で、著者は、本書は「近代日本の軍事力の歴史」を描こうとするものであり、「戦争でないときに軍事力がどのような考え方で、どれほどのエネルギーを費やして建設されたかに焦点を当てている」としています。 日本の軍事費統計を始め、いろいろな資料も掲載されており、役に立ちます。 なお、日本の軍事力の歴史について、「陸軍の歩兵中心・白兵主義と海軍の大艦巨砲・艦隊決戦主義は、官僚的なセクショナリズムにも助けられて揺るぎのないものとなり、それらに基づく作戦構想への固執がとめどもない軍拡をもたらした」、「国家も軍隊も、ただひとつのシナリオしかもたない硬直性は、現実世界を観察する眼を曇らせ、将来に対する洞察力を育てることを阻害」した、という著者の評価は、説得力があります。 |
本書からは、本ウェブサイト中、下記のページで、引用等を行っています。
本書の著者は防大卒で、自衛官から防大助教授、防衛研究所戦史研究部所員などの経歴があり、定年退官後は、軍事史家、軍事評論家という人です。「物語」という書名示すように。読みやすく書かれています。
1866年の普墺戦争、1970年の普仏戦争での鉄道利用から話がはじまり、世界の動向と日本の状況の両方が押えられています。世界については、ロシアのシベリア鉄道や、第一次世界大戦での欧州各国の鉄道活用状況などが、記述されています。
日露戦争中の日本陸軍の鉄道活用状況については、このウェブ・サイトの本文で引用しました。日清戦争で最初の軍事輸送を行った経験を出発点に、以後、日露戦争期から大東亜戦争に入る前までは、鉄道線路や運用方法について次々にカイゼンを重ねていった経過が、本書からよくわかります。
大東亜戦争期、中国やインドシナ半島では、欧州勢によりすでに敷設されていた鉄道の活用なしには、日本軍の緒戦の迅速な作戦は成り立たなかったこと、逆に鉄道がなかったガダルカナルやニューギニア、インパールでは、補給手段がないために日本軍将兵が飢えに苦しめられたこと、日本陸軍では自動車の発達が遅れていたために泰緬鉄道の新設で鉄道聯隊が苦労したこと、また戦時の人員物資の輸送に貢献するための鉄道が、物資不足により日本国内でも輸送力減少、輸送スピード低下を起こしていたことなども指摘されています。
昭和前期の敗戦後については、占領軍による鉄道管理や、占領軍用の輸送体制、昭和35年に設立された陸上自衛隊の鉄道部隊についても触れられています。その鉄道部隊が、昭和41年に、より近代的なミサイル部隊やヘリコプター部隊の整備のために整理されてしまうところで、本書は終わっています。
本書からは、本ウェブサイト中、下記のページで、引用等を行っています。
次は、軍事史一般のうち、歴代の陸海軍大将について、および軍事戦略思想についての参考図書です。