日清戦争で戦場となった地域
日清戦争で
戦場となった地域
(黄は陸戦、赤は海戦)
 
 
カイゼン視点から見る
日清戦争
The Sino-Japanese War of 1894-95 from Kaizen Aspect

日清戦争の本・資料 − 旅順虐殺事件

大谷正 『近代日本の対外宣伝』
一ノ瀬俊也 『旅順と南京』
秦郁彦 「旅順虐殺事件」
嶋名政雄 『乃木「神話」と日清・日露』
井上晴樹 『旅順虐殺事件』

上 日本陸軍の旅順西方砲撃 下 日本海軍の速射砲砲撃
上 日本陸軍の
旅順西方砲撃
下 日本海軍の速射砲砲撃
(日清戦争写真帳より)
 
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カイゼン視点から見る 第一次世界大戦

戦史研究に関わる文献資料のうち、特に旅順虐殺事件に関するものを、以下にまとめて挙げておきます。

大谷正 『近代日本の対外宣伝』
研文出版 1994

本書は、旅順虐殺事件そのものを目的とする研究書ではありません。明治期の日本政府が行った「対外宣伝」活動の歴史、日本が欧米に向けてどのように日本自身を説明しようとしたのかを、歴史的にあきらかにするもの、と「序」に書かれています。

ですから、旅順虐殺事件は、本書の内容の一部に過ぎませんが、その最も重要な部分のひとつです。また、本書の内容の深さから、本書は実際に、旅順虐殺事件についての最重要な研究書と評価されています。

近代国家を作ろうとしていた明治の日本政府は、欧米への情報発信にも大いに配慮を行っていて、日清戦争の開戦時には、欧米世論は圧倒的に日本支持であったこと、ところが全く野蛮で文明的ではない旅順虐殺事件が発生してしまい、それが欧米に報道されたこと、そのとき日本は、責任者の然るべき処分を行っていれば、非難を称賛に変えることが出来たのに、それをしなかったために、報道記者を敵に回してしまったことが、史料に基づいて検証されています。

本書からは、本ウェブサイト中、「日清戦争の経過−中盤戦A-2 旅順虐殺事件」のページで引用等を行っています。


一ノ瀬俊也 『旅順と南京 − 日中五十年戦争の起源』
文春新書 2007

一ノ瀬俊也 旅順と南京 表紙写真

本書の書名は、旅順虐殺事件を正面から取り扱っているようなイメージを与えますが、そうではありません。

内容の中心は、日清戦争の第二軍に属して旅順にも行っていた、一人は軍夫、もう一人は上等兵の、「絵日記」・「従軍日記」の内容を紹介することにあります。

左のカバー写真も、本書に取り上げられている「絵日記」の中の一つで、「絵日記」の内容が写真で紹介されています。

当時にあっては、まだ技術力が低く撮影に制約がきわめて大きかった写真よりも、このような色つきスケッチの方が、現地の状況について、もっと具体的なイメージが読み取れる、と言えるように思います。

もちろん、旅順虐殺事件についても、この二人は現場近くにいたわけですから、実際に自ら見聞しています。それが日記に記されていますので、当時の証言として、非常に重要なものであると思います。

本書からは、本ウェブサイト中、「日清戦争の経過−中盤戦A-1 金州・旅順」および「日清戦争の経過−中盤戦A-2 旅順虐殺事件」のページで引用等を行っています。


秦郁彦 「旅順虐殺事件−南京虐殺と対比しつつ−」
1997

日清戦争時の旅順虐殺事件を、昭和前期の日本軍が起した南京虐殺事件と対比して、その相似点、事件の責任者などを論究した論文です。

「日清戦争の総合的研究」のところで挙げた、東アジア近代史学会編 『日清戦争と東アジア世界の変容』 に所収されています。

本論文からも、本ウェブサイト中、「日清戦争の経過−中盤戦A-2 旅順虐殺事件」のページで引用等を行っています。


嶋名政雄 『乃木「神話」と日清・日露』
論創社 2001

本書は、日清・日露両戦争での、日本軍の旅順での戦い方を,、戦史・軍記に基づいて論評したものであり、旅順虐殺事件そのものに焦点を当てたものではありません。しかし、本書の中で事件も取り上げられていますので、ここに挙げます。

著者は、プロの戦史研究者でも歴史家でもありませんが、大連に生まれ旧制中学時代までそこに暮らして、現地の地理を良く知っている人です。そうした人物による論評である点に、この書の価値があると思います。

本書からも、本ウェブサイト中、「日清戦争の経過−中盤戦A-2 旅順虐殺事件」のページで引用等を行っています。

井上晴樹 『旅順虐殺事件』
筑摩書房 1995

編集者・作家である著者による、「この事件のありさまを筆者なりにあきらかにしようという企ての産物」です。

全体にジャーナリスティックな印象の本です。取り上げている個々の資料について、どこまで事実を反映していそうか、事実の確認検証が不足しており、また論証においても、論拠の提示が不十分な個所が多く、学究的であるとは言い難いように思われます。

当時の新聞記事については、米英のものも日本のものも豊富に引用されています。この点では、本書を「資料集」的に参考にできるかも知れません。ただし、引用されているのは記事の一部なのか全体か、という点の明記も不十分なのは、残念です。

本書は、本ウェブサイト中、「日清戦争の経過−中盤戦A-2 旅順虐殺事件」のページで言及しています。


次は、日清戦争そのものの戦史研究からは少し外れて、日本の陸海軍を理解するための参考図書です。


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